− 目盛りモノ −
とにかく、目盛りがついているモノに弱いのですね、これが。
- 1. 計算尺
- 計算尺といっても最近の若い人はご存じないでしょう。たぶん私らの世代が義務教育で計算尺を習った最後ではないでしょうか。関数電卓なんてものが出現する前は、技術者はみなこれで計算していました。アポロ11号もたぶん計算尺を駆使して設計され、月面に人類を到達させたのではないでしょうか。偉大な器具であります。私はすこぶる不器用なので、義務教育における計算尺操作技術の習得はまことに不満足な首尾に終わりましたが、なにしろ目盛りが好きなので、後から買い集めて手許に置いてにやけているわけです。計算尺の世界では、本邦のヘンミ計算尺株式会社が世界最高水準の品質を誇っており、日本の技術者はまことに幸せでした。私の持っているのもすべてヘンミ製品です。Faber Castellなんかのもかっこいいですけどね。なお、特殊な分野では計算尺はまだ需要があり、現在でも特に航空関係の用途のものなどが販売されています。後で出てくるように、時計に計算尺がついているのはたくさんありますね。また、計算尺には気合いの入ったコレクターがたくさんいらっしゃるようで、googleなどで検索していただければ、そういった方々のサイトを容易に見いだすことができます。

私が普段持ち歩いているNo.149A 機械技術計算用小型尺です。12.5cm両面型。おそらく最も一般的な仕様のものでしょう。乗除平方立方対数べき乗三角関数が扱えます。

No.261 機械技術用25cm両面型。ヘンミ独自の竹製ではなく、プラスティック製です。三角関数の尺に「ダルムシュタット方式」を採用しています。滑尺が薄い水色です。まだ袋から出していません。

No.266 電子工学用25cm両面型。「近代産業の花形である電子工学」のために設計された特殊な尺によって、抵抗・容量計算、インピーダンス、時定数計算などが可能です。この尺は銀座の伊東屋で\7,200も出して購入しました。(他のものは地方の事務用品店や問屋さんに死蔵されていたものを超格安で分けてもらったものばかりです。) ビニール合成皮革のソフトケースつき。
このほか、No259D、260 いずれも機械技術用、No.255D 電気用、No.257L 化学工学用、No.143 商業用、その他No30、32などポケット型数種を所有しております。オクサンにもかわいいNo.30をひとつあげました。彼女の研究室のアクセサリにでもなっているのでしょうか。:-) 257Lなどは結構レアものらしいですが、コレクタでないのでその辺の消息は全然わからない。宝の持ち腐れ? :-)
なお、私、関数電卓は以下のHP48GXを使用しております。普通の関数はもちろん、3次元のグラフ、統計、ヴェクトルと行列、文字処理、定積分および簡単な不定積分、FFTなど、尋常ではない機能を持っているスグレモノです。そのむかし関数電卓は「69の階乗」の演算の速さでその性能を測ったもんです。69!は通常の電卓が扱える9.999999E99を越えない最大の階乗値であります。ほとんど瞬時に答えを返すシャープの某製品が出たときなど、予めマシン定数として69の階乗を記憶させているのではないかなどという噂がまことしやかに流れたもんです。ところがこの電卓、速度はいまいちですが、なにしろ1E500まで扱えるので、70の階乗も楽々計算し、なおかつ実は単なる階乗ではなくてガンマ関数なので、105.2の階乗なんてのも計算してくれるのです。すごい。アメリカでは大学受験する高校生が使うらしいですけどね。オペランドを入力してからオペレータを指定する、所謂「逆Poland方式」。その前のHP28から通算するともう15年くらい使っています。しばらく前から普通の電卓は使えなくなってしまいました。人に貸しても使えないと言われるし、困ったもんです。:-) ずいぶん前に後継の49が出ていますが、いまのところ48で充分。膨大な数の愛好家のサイトが世界中にあるようです。

ついでに番外。

カードノギス「ど〜のくらい」 東洋計器株式会社。 キャッシュカードサイズのノギスです。厚さ1mmくらいの硬質樹脂製。いつも手帳に入れて携帯しています。外寸内寸深さがちゃんと0.05mm単位で測れます。副尺に工夫があって、透明の板に副尺目盛りが黒地抜きで印刷してあり、副尺目盛りと主尺目盛りが一致したところで副尺目盛りが見えなくなるようになっています。1990年頃買いましたが、重宝しています。
- 2. 時計
- なにしろ目盛り好きですので、時計といっても普通に時間を計るだけでは満足しません。

CASIO: ATC1100
まだ「G Shock」なんてブランドがない時代に、所謂「山屋」で買った、気温・気圧・高度・磁気方位を測定できる時計。デジタルですけどね。高度表示は5m単位ですが、天候が急変しない限りかなり正確で、登山には重宝しました。ただし腕にはめていると体温で温度計が使えない。温度が変わると圧力センサの温度係数が大きくて気圧があてにならないという矛盾した製品です。最近は出番がないなあ。飛行機の中で客室が減圧される様子なんか見ていると楽しいです。

Pierre Guionnet: BR200M
時計コレクタの間では力一杯軽蔑される「パチモン」だそうです。大体「定価」の9割引と称して売っていましたからね。:-) ブランド名のPierre Guionnet氏は「フランスの若き天才デザイナー」だそうですが、Google.frなんかで検索しても全く出てきません。2ちゃんねるのカキコによれば「ピエールさんの中の人は台東区上野にあるウエニ貿易 第二事業部 時計営業課 吉田宗一さん でつ。 ロレやオマガの並行輸入なんかで稼いだ金を ピエールさんやSONNEといった9800円ブランドで 還元している!?良心的な商社です。」とのことです。パチモンにしてはベゼル、ガラス、バンドなど、質感は高級だし、白地に赤の日付表示もなかなかセンスいいですね。でも肝心の運針精度と航空用計算尺の目盛り精度は全然ダメで、見かけ倒しと言えましょう。まあそれを言ったらそもそも時計に計算尺つけているのがそもそも見かけ倒しなんですが、なんちゃって。ストップウォッチとしては結構使えます。

CITIZEN: PMD56-2771
シチズンが発明して世界に広めた、「電波時計」です。しかも所謂「エコ・ドライブ」で電池不要。すなわち時々光を当てて、夜間窓際に置いとけば完全メインテナンスフリーという究極の時計です。ベゼルの外周が黒くメッキしてあるものも出ていますが、これの方がsolidな質感がわたしの好みにあっています。航空用計算尺つき。これはさすがに目盛り精度いいですね。でもストップウォッチなんかはついていません。ベゼルとベルトはチタン。電波時計にありがちなアンテナ部分の樹脂カバーはありません。シチズンすごい! でも壊れたりしないかなあ。というのも、

CITIZEN: CAL6701A
儀礼装用に買った「金の懐中時計」。たしか「完全無修正カレンダー」がついています。年・月・日・曜日をすべて針で指し示す仕組み。しかも過去と未来の100年間の日付を呼び出すことができます。役に立つのかどうかわかりませんが、これが既に2回逝っています。一回目は購入してすぐだったので無償修理でした。どうも曜日を指し示す針の往復機構が弱いみたい。上の2771も2100年2月28日までは無修正なのですが大丈夫でしょうか。

POLIMASTER: PM1208
これがキワモノのとどめですかね。ベラルーシBelarusのPOLIMASTER社が製造している腕時計型γ線量計です、というか腕時計と線量計の合体したもの。自然放射線なんかを測る低線量タイプです。なにしろかのジェーシーオー事故の時には屋内待避命令を食らった地域に住んでおりますので、こういうものは必需品かと思いまして。(事故の時は別の線量計で測っていましたけどね。当日の夜の雨の時にはたしか通常の50倍くらい計数してましたね。) 普段はあまり使い道がありませんが、飛行機に乗るとき、上空の放射線量(地上より数倍高い)を測って同僚に見せたりするとビビルので面白い。なお、市民でも買える比較的安価な線量計は結構売っているので、その手の施設の周辺にお住まいの方は持っていても良いのではないでしょうか、まじめな話。